導入インタビュー:
広島県廿日市市
株式会社やまだ屋
■設置場所:塩屋公園(広島県廿日市市)
■管理:自治会(大野第八区)

みんなの防災倉庫普及協会」から声をかけてもらいました。
地域住民の方への恩返しになれば、 と思いました。

2024年11月、廿日市市の大野第八区の塩屋公園に、「みんなの防災倉庫」が設置されました。
倉庫内には、災害時に必要なブルーシート、玉紐、簡易トイレ、緊急工具セット、給水タンクなどが備えられており、地元住民が利用できます。
費用負担は、もみじまんじゅうでお馴染みの株式会社やまだ屋です。公園の近くに「おおのファクトリー」という工場を構えているのがご縁でした。
関係者である、株式会社やまだ屋の取締役、大野第八区の区長、廿日市市の副市長に、導入までの経緯などをお伺いました。

Supporter

株式会社やまだ屋

田川 繁章 取締役

サポーター企業

今回のプロジェクトに参加されたきっかけは?

「みんなの防災倉庫普及協会」からのお声かけです。第一印象は、「怪しそう」でした(笑)。
社会貢献という意味ではいい話だと思いましたけど、当初は、繁華街に倉庫を設置するというお話だったので、「そこに弊社の広告を入れても、特に宣伝効果はないだろうな」と思っていました。

ただ、その後、「設置場所は、自社工場の近く」というお話になったので、「それなら地域貢献になるな」と思った次第です。
地域住民の方々は、ご自宅の近く工場があることに対していろいろなご意見があると思いますので、そういうことも含めて、日ごろの恩返しができれば、と。

設置されるまで、大変なことはありましたか?

いいえ、ぜんぜん問題ありませんでした。
地域の区長さんが率先して話を進めてくださったので、ほぼお任せでした。

企業として、これまで、防災への取り組みはどのようにされていましたか?

BCP(事業継続計画)については、5~6年前に対策マニュアルの作成に着手したものの、諸般の事情で中断していました。現在その作業を再開しており、各事業所の対策マニュアルが間もなく完成します。
防災用品の備蓄については、弊社の場合、必要な事業所とそうではないところがありまして。おおのファクトリーには必要なので、簡易トイレなどを備蓄しています。ただ、テナントをお借りしている店舗は、独自の防災備蓄はほぼ不可能です。
このようなことも念頭に、対策マニュアルを作成しています。

今回のプロジェクトで、町内会と多くの話し合いをされたことと思います。このことが、今後の地域での活動に、何か影響はありそうですか?

 これまで、地域に対しては小田島公園のネーミングライツパートナーとして「やまだ屋もみじファミリーパーク」と命名させていただき、そのネーミングライツ料を公園内洋式トイレの設置に充当していただいたり、公園で開催されるスポーツ競技会で一定条件を満たす大会には参加賞などを提供してまいりました。
ただ、区長さんとお会いしたのは、今回が初めてでした。 過去の詳細な災害記録を保管されているなど、非常に責任感の強い方で、今回のプロジェクトがスムーズに進んだのは、区長さんのご尽力によるところが大きいでしょう。
今後も、よいお付き合いをさせていただければと思います。

Neighborhood association

廿日市市大野第8区

横田 光男 区長

自治会

最初にどこからお話が来ましたか?

2024年の6月か7月だったと思うのですが、廿日市市役所大野支所から、「やまだ屋さんが、地域防災倉庫の設置を考えているから、詳細はわからないけど話を聞いてほしい」と言われました。
それで「みんなの防災倉庫普及協会」の方とお会いして、その後は、2人で具体的に話を進めていきました。

このプロジェクトの詳細を聞いて、どう思われましたか?

やまだ屋さんには、地元の行事に協賛していただくような関係が何年か続いていましたので、近隣の企業がそういうことをしていただけるというのは大変ありがたいお話です。 こちらとしても、協力していきたいと思いました。

とはいえ最初は、「やまだ屋さんがどうして?」「どういう管理形態になるのか」といった疑問がたくさんありました。

プロジェクトが動き出してからはどうでしたか?

本音をぶつけ合いながらひとつひとつ整理していくことで、上記の疑問も解消され、プロジェクトも少しずつ進んでいきました。

防災倉庫に備蓄する物品についても、今までの災害時に備えた備蓄品・資機材リスト等資料をお見せしたりして、普及協会の方と話し合いました。食品などは他の倉庫で備蓄しているため、みんなの防災倉庫へは、ブルーシートや簡易トイレなどの資機材を中心に揃えました。

自治体や企業とのやり取りで、大変だったことはありましたか。

やまだ屋さんとのやり取りは、基本的にありませんでした。

いっぽうで自治体に対しては、我々が交渉に加わったほうがいいのか悪いのかがよくわからず……。
「公園に設置するとなると、公的法令などの部分で制限があるのではないか」「地域の希望をどう伝えたらいいのだろうか」などと悩みました。以前、防災倉庫の申請をしたときに、法規制・書類申請などで苦労した記憶があったからです。

ただ、最近では、行政申請書類が簡素化されていましたし、みんなの防災倉庫普及協会のサポートもあり、「よい先例になりモデル事例になれば」という思いもあって、前向きに取り組みました。
結果的に、想像していたよりもスムーズでした。

「対自治体」というのは、以前はそんなに大変だったのですか?

申請書類・現場検証等が大変なので、防災倉庫設置を躊躇することもありました。
今は、地域から提出されれば、書類1枚で基本的にOKですし、助成金などもあるので、それを利活用するのがいいと思います。

設置された防災倉庫をご覧になった感想は?

倉庫の機能の前に、備蓄している物品の数が十分なのかどうなのか、わからない部分もあります。
たとえば、我々の区内の世帯数は920世帯あまりですが、ブルーシートについて言えば、「1世帯に1枚でいいのか」「どの大きさのもの用意すればいいのか」といったことが明確ではありません。 ご自身で備蓄されている方もいらっしゃるかもしれませんし。
そういったことも、これから考えていきたいと思います。

「みんなの防災倉庫」について、運用面でのご心配や、ご要望などはありますか?

既存の防災倉庫については、私と6名の副区長が、スペアキーをそれぞれ所有しています。またキーボックスを設けてスペアキーを保管している倉庫もあり、危機管理をしています。


いっぽう「みんなの防災倉庫」の場合、スペアキーは不要ですが、災害時に倉庫を開けるには、LINEアプリで友達登録をしておく必要がありますよね?

地域住民の方は、まだ友達登録をしていないので、今後、これをどんどん広げていかないといけないのですけど。高齢者の方は、スマホを持っていてもアプリ操作が難しい方も多くて、わかりやすい紙ベースの案内マニュアルがあるといいな、と思います。

我々ができることとしては、まずは地域の集まりの際に、「みんなの防災倉庫」のLINEアカウントを友達登録してもらうことですかね。
「大野第八区のLINE公式アカウントをつくって、デジタル回覧板でお知らせし、リンクできるシステム構築を・・・」というシステム構想も考えていますので、全体を統括したプラットフォームがあるといいかな、と思います。

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